現役ミュージシャンが解説。スタジオ定番機種に対応したベースアンプの設定方法。

ベースアンプ

今回はベースアンプの使い方に関して。

ベースアンプはエレクトリックベースを演奏するのに必要不可欠ですが、

自宅で練習するだけの方には大型のアンプは馴染みがなく、初めてスタジオに入ったときなどに困惑することも多いようです。

今回はベースアンプの正しい使い方と音作りのコツを解説していきたいと思います。

ベースアンプのセッティング

1.ベースアンプの各部解説

アンプの解説

1.インプット

その名の通りベースのインプット。2つ差し込み口がある場合は

パッシブ(電池無しベース)はHIGHに

アクティブ(電池の入ったベース)はLOWに入力します。

2.電源スイッチ

文字通り電源です。後述しますがフルチューブアンプは2つスイッチがありますが押す順番に注意します。

3.GAIN.EQ

音色を設定する部分です。これによってベースの音色は決定されます。

4.マスター(ヴォリューム)

最終的な音量を決定する部分

2.接続順

1.アンプの電源を入れる前に、シールドケーブルで接続。

電源やヴォリュームを入れてからケーブルの抜きさしをすると接触した際バリっという音がします。

最悪の場合、スピーカーを傷付けてしまう場合をあるので、必ず電源が落ちている状態で抜きさしを行いましょう。

2.EQ部分は12時に設定。

ベース、トレブルなどのEQ部分は12時の位置から始めるのが一般的です。この部分に設定することをフラットと呼びます。

またセンタークリック(回しているとカチっという感触がある部分)がある機種がありますが

それはその部分が基準に設定されています。

3.アンプの電源を入れる

ここではじめて電源を入れます。

ベースアンプでは最近少ないですがフルチューブ(真空管搭載)のアンプなどは

電源とスタンバイの2種類のスイッチがある場合がありますが

この場合は電源スイッチを押して数分してからスタンバイスイッチを押します。

これは先に中の真空管というパーツを温めてからでないと音が出ないためです。

チューブアンプはデリケートな機材ですが最近ではリハーサルスタジオの貸アンプがチューブアンプということは少ないので

出会った場合は無理せずお店のスタッフさんなどに教えてもらうとトラブルは減るでしょう。

4.ゲインの設定

アンプの音量設定に必要な要素として”ゲイン””ヴォリューム(マスター)”があります。

この違いに関して詳しくは後述しますがアンプの設定の段階ではまずこちらのゲインを設定します。

これは好みにもなりますが気を付けることはクリップランプを常時点灯させないこと

クリップランプとはゲインつまみのすぐ近くについているランプですがベースからの信号が強すぎる、過剰入力の場合を教えてくれるランプです。

あえて常時点灯にする場合もありますが、機材に負荷をかけてしまうので

レンタルスタジオやライブハウスでお借りしているアンプでは常時点灯させないようにしましょう。

5.ヴォリュームを操作して音量を設定

ここでヴォリュームを設定です。ようやくここでスピーカーから音が出ます。

これはバンドや部屋によって適正音量は変わります。

一般的にはドラム(生楽器)に音量を合わせていきましょう。

6.EQで音質を設定

そして最後にEQを使って好みの音に設定していきます。

もちろん積極的に音作りすることも大切ですが

フラットの状態で問題なく演奏できていれば無理にいじる必要はありません

個人的にはここはあまり弄らず、低音が出過ぎた場合や、ヴォーカルと音がかぶりすぎている場合に軽く操作するくらいです。

ただ、これには慣れが必要なのでまずは積極的に弄ってみましょう。

ここの部分でアンプを壊してしまうことはあまりないので恐れず色々試してみてください。

定番機種

・HARTKE(ハートキー)

ベースアンプの定番ブランドとして、ライブハウス、スタジオなどでプロ、アマを問わず多くのベースプレイヤーに愛用されています。

アルミコーンを採用したスピーカーから出力されるクリアなサウンドは賛否はあれど多くのミュージシャンに愛されます。

【代表機種】

HA2500

ハートキー

プリアンプに真空管とトランンジスタの2種類対応しそれぞれの音色をミックスして幅広い音作りが可能

またグラフィックイコライザーが採用されているため細かなサウンドメイクができます。

グラフィックイコライザーははじめは難しく感じるかもしれませんが逆に音質を資格的にとらえることができるため

使ってみたい音作りなどを調べてそのままの形を真似してみるだけで近い音を作ることができるでしょう。

そして帯域について深く学ぶと細かい調整も可能なため、使いこなす可能性は広いアンプでしょう。

・AMPEG(アンペグ)

アメリカ・ワシントン州のウッデンヴィルに本拠をおく、メーカーで、アンペグのベースアンプは高出力でクリア、パワフルなサウンドが得られるのが特徴。

昔からスタジオやライブハウスの定番として親しまれているのでベースアンプといえばこれ。ともいえるくらい慣れ親しんだ音です。

また昔ながらのシンプルな操作性は初心者さんも扱いやすいです。

【定番機種】

SVT-7PRO

ampeg

アンペグといえばフルチューブアンプも有名ですが

近年ではこちらのプリアンプのチューブのこちらがスタジオなどではよく設置されています。

特徴としてはミドルの周波数切り替え、そしてアンペグならではのウルトラロー、ハイスイッチでしょう。

ミドルの周波数切り替えは仕組でいうとパラメトリックイコライザーとなりますが

まずは難しいことを考えず全5種切り替えてみて好みの音を探してみましょう

ウルトラロー、ハイスイッチは押すとこれぞアンペグ!という音がしますが

このあたりはお好みで。

・MARKBASS(マークベース)

イタリア発のベースアンプメーカー。

軽量、コンパクトでありながらもハイパワー。

近年こちらのアンプを貸しアンプに採用するスタジオやライブ会場も増えてきていて

多くのベーシストの間でファンが急増中の注目メーカーです。

【定番機種】

LITTLE MARK III

マークベース

定番の4つのイコライザーに加え、

高域をカットし、ローファイサウンドに早変わりするVLE、スラップに最適なドンシャリサウンドを作り出すVPFコントロールつまみを搭載。

こちらのアンプも直観的に操作できますが特徴的なのはVLEつまみとVPFつまみ。

こちらは慣れない場合は0でも問題ないですが好みのサウンドになる場合は積極的に使ってみるのもいいでしょう。

また2.9kgという驚異的な軽さのため、電車移動の気軽に持ち運びできるでしょう。

音作り

波形

ゲインとヴォリューム

アンプの内部は大きく分けて2つのセクションで構成されています。片方のセクションでは、楽器から送られる比較的弱い信号が加工されるプリアンプセクション

そしてもう片方はそのシグナルが強いものへとブーストされ、スピーカーから再生させる信号へと変化させるパワーアンプセクション。

プリアンプの中にはこの部分でシグナルの強さをコントロールできるものがあり、その調整をするのが「ゲイン」です (「ドライブ」と呼ばれることもあります) 。

ゲインはプリアンプに送られるインプットのボリュームと認識されがちですが 、実際にはボリュームではなくトーンをコントロールする部分であり。ゲインのセッティングによって、ドライブ(歪み)させるかが決定されます。ゲインを調整することで、実際にスピーカーから鳴る音量だけでなく、トーンの歪み具合が変化します。

ゲインで設定したサウンドを、最終的に小さな音量で鳴らすか、大音量で鳴らすかは、マスターボリュームのセッティングによってコントロールすることができます

EQ

イコライザー(EQ)とは、音質の補正(平均化)や改善、特定の周波数帯域を強調または減衰する機器のことです。

また特定の周波数帯域をカットしてノイズやハウリングの対策に使用されることもあります。

・BASS (LOW) / 低域の調整

音の太さが変化します。周波数帯域は50Hz~120Hz程度

・MIDDLE (MID) / 中域の調整

音の芯やキャラクターが変化します。周波数帯域は400Hz~800Hz程度

・TREBLE (HIGH) / 高域の調整

音の抜けやアタック感が変化します。周波数帯域は4.5kHz~10kHz程度

実例

・スラップスタイル

スラップ

スラップに適した音作りは一般的には、高音域、低音域を上げて、中音域を下げるという所謂ドンシャリサウンドが合うと言われています。

しかしあまり極端にしてしまうと耳障りな高域は耳に痛く、また、ギターやシンバルと帯域がかぶるのでバンドメンバーからすると演奏しにくいベース。と思われてしまうので注意しましょう。

個人的には+-2ずつくらいが扱いやすいと感じます(楽器やアンプによりますが)

あとはスラップの音に関してはアンプよりも楽器のセッティングのほうが重要かと感じていますがこれに関しては別の記事で解説しましょう。

・ロックスタイル

ピック

ロックベースのブリブリの音は、セッティングで言うと、スラップとは逆にミドルを強調したサウンドが合うでしょう(ドンシャリに対してかまぼこ型ともいわれるようです)

またゲインを高めに設定したり、時には歪ませることによってロックならではのドライブ感を演出できます。

最近はロックバンドでも様々なスタイルの演奏をするバンドも多いので極端なブリブリサウンドよりナチュラルなサウンドのほうが好まれるようですが

やはりロックのドライブ感は気持ちのいいものがあります。

ミドルを強調したサウンドということでミドルを上げすぎるとそれもまた耳に痛いサウンドになりやすいんので、

ポイントとしてはミドルを上げるよりもハイ、ローをカットして、相対的にミドルが協調される。というセッティングが扱いやすいでしょう。

ワンポイント

アンプの置き方

EQの設定など様々な要素をお伝えしましたがこれがかなり重要なポイントになると考えています。

たまに部屋の壁にベタつけに用意されているところなんかもありますがこれはかなりローが広がってしまうので要注意。

少し壁から離すだけでかなり音が変わります。

べた付けにしている所は恐らく使わない場合の場所確保のためで使用するときは移動することを想定しているのだと思いますが

お借りしている機材を転倒させて壊してしまう危険もあるため

移動する際は必ず店員さんに確認しましょう。

置き方に関しては以前の記事で詳しく解説しているので

よければ参考にしてみてください。

アンプをメモるのを辞めたら音抜けは良くなる。

音量感

折角設定した音作りも音量感を間違えると台無しです。

初心者さんにありがちなのは大きすぎるということ。基本はドラム(生楽器)に合わせることですが

常に音量は気にする癖をつけ、共演者に確認しましょう。

また自分が聞いいてる音と他人が聞いてる音は違うということは念頭にいれ、

音作りが完了したら少し移動して聞いてみるのも良いでしょう。録音するのもいい方法です。

ライブハウスでの音作り

ライブハウスではベースは特にアンプは中音(ステージ側)でしか鳴っていないことも多く、

一生懸命セッティングしてもお客さんが聴く音とはギャップがあることも多いです。

これに関してはまた改めて解説しますが、

今回はポイントとして、個人的にはベースアンプを鳴らし過ぎるとベース音が膨らみすぎるので

アンプは下げ目に設定してモニタースピーカーにライン音を多めに返してもらうこともあります。

こうすることでアンプで鳴らすよりクリアな音でモニターできてラインがしっかり確認できます。

ライブでいつも音が聴こえない、、という方はアンプの音量を上げる前に一度お試しください。

まとめ

長くなりましたが今回はアンプについて解説していきました。

大型アンプに馴染みがない方は苦手意識を持っていることもあるかもしれませんが

とりあえず触っていくことで感覚的に扱えるようなっていきます。

恐れずにまずはスタジオで色々試してみてください。

またそれでもわからないことやより詳しく知りたい場合は是非ともレッスンで続きをやりましょう。

それでは。

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